自動車の運転を専ら職業とした期間とは、他人に雇用されたことを前提としており、運転者として専従したものである

*関東運輸局管内における場合です。その他の地域での詳細は管轄の運輸局等にお尋ね下さい。

Ⅰ 運転経歴の算定について 令和6年6月7日一部修正

(1) 次のような期間は、運転経歴に含まれないので注意すること。

  1. 軽自動車(民間患者輸送事業の用に供する自動車を除く。)、二輪及び三輪の自動車、特殊自動車等を運転していた期間
  2. 通勤、レジャー等のために運転していた期間
  3. 運転業務とともに、他の業務も行っていた期間
  4. 運転を職業とするとともに、他の職業にも従事していた期間
  5. 主たる業務の手段として車を運転していた期間(例:パトカーの運転、道路維持作業車の運転、セールスのための運転等)
  6. 会社の役員等を兼務していた期間
例:運行管理者(正・副や補助含む)を兼任していた場合、3. に抵触するので兼任期間を除いて10年以上の運転経歴が必要

(2) 一般旅客自動車運送事業用自動車以外の自動車の運転期間を算入する場合、上記(1)以外に次の点に注意すること。

  1. 正規従業員であるか
  2. 派遣従業員でないか
  3. 在職証明書に運転者として記載されているか
  4. 社会保険の加入状況
  5. 雇用主が労働基準法の規定に基づき作成した労働者名簿の写し
  6. 業務内容及び期間を挙証するもの
  7. 運転日報
  8. 長期の雇用契約
  9. 運転者としての辞令
  10. 運転者手当のある給与明細書

(3) 運転経歴として認められる期間

 在職証明書、乗務員台帳、社会保険の加入証明、タクシー運転者登録原簿謄本等のそれぞれの期間の自至が全て重なっている期間とする。なお、運行管理者又は整備管理者として勤務した期間を含まずに10年間必要。・・・・年齢別経歴要件に係る公示文はこちら

(4) 新規許可申請日、譲渡譲受申請日または事前試験申込日(以下「申請日・申込日」とします)現在で35才以上40才未満の者の要件

 「新規許可申請や譲渡譲受申請をする、または事前試験の申込をする営業区域(以下「開業したい営業区域」とします)においてタクシー・ハイヤーの運転を職業としていた期間が申請日・申込日以前継続して3年以上であること」について、申請日・申込日以前3年間における雇用先の変更に伴う離職期間の「合計が」30日以内である場合に限って、雇用が継続しているものとみなす。 また、申請日・申込日現在において離職していない事

(5) 申請日・申込日現在で35才以上40才未満の者の要件

 「開業したい営業区域においてタクシー・ハイヤーの運転を職業としていた期間が申請日・申込日以前継続して3年以上であること」については、休職等がなく実際に乗務をしていることを基本とする。休職があった場合は個別に判断されることとなるが、申請日・申込日現在休職中の場合は不可となる。

(6) 申請日・申込日現在で40才以上65才未満の者の要件

 「開業したい営業区域において、申請日・申込日以前3年以内に2年以上タクシー・ハイヤーの運転を職業としていた者であること」については、この2年以上の期間は、休職等がなく実際に乗務をしていることを基本とする。

(7) 申請日・申込日現在で35才未満の者の要件

 「開業したい営業区域において、申請日・申込日以前継続して10年以上同一のタクシー又はハイヤー事業者に運転者として雇用されていること」について

  1.  同一会社でタクシー運転者からハイヤー運転者に変更した場合(逆も同様)もこれに該当する。
  2.  申請日・申込日現在において離職していない事
  3.  なお、10年以上雇用された後、個人タクシーの代務運転者となった場合は、10年以上同一とならないため35才未満の者の運転経歴要件には該当しない。
  4.  運行管理者等をしていた場合、その後の乗務期間が継続して10年以上経過した後でなければ該当しない。
  5.  運行管理者以外の事務職等になっていたと在職証明書に記載されていた場合も、その後の乗務期間が継続して10年以上経過した後でなければ該当しない。
  6.  合併等により勤務先の名称が変更された場合等にあっては、継続と見なされるかどうかは勉強会参加団体等を通じ(一社)東京都個人タクシー協会へご相談下さい。
  7.  勤続中に、運転免許停止、運転免許切れ、病気及び休職等がある場合には、次のすべてに該当していることが必要だが、状況により個々に判断される。
    • ⅰ 在職証明書に、当該期間について運転者以外の職種が明記されていないこと。
    • ⅱ 社会保険が継続されていること。
    • ⅲ 休職等の期間を除外しても10年以上あること。
    • ⅳ 挙証資料の内容に不備がないこと。
    • ⅴ 事実に基づき記入していること。
 

Ⅱ 運転経歴に係る挙証資料について

※ (5)にあるとおり運輸局への提出は「譲渡譲受等の申請時」ですが、事前試験申込書にも運転経歴に係る日付日数等を記載する必要があることから、勉強会参加団体・試験申込団体の指示に従いあらかじめ取得するようにしてください。

(1) 在職証明書

  1.  雇用主(代表取締役)が証明したものであること。印鑑も雇用主のもの(代表取締役の丸印)を捺印(以前は会社印(角印)のみでは不可と言われた)。
  2.  採用年月日、退職年月日、休職期間、月当り勤務日数及び通算在職年月数が記載されているものであること。
  3.  勤務事業所及び職種ごとの勤務期間が記載されているものであること。
  4.  職種については単に「乗務員」では不可。「タクシー乗務員」「ハイヤー運転者」「トラック運転者」といったように乗務していた車の種類も漏れなく記載すること。
  5.  関東運輸局指定の専用様式によること。

(2) 業務内容及び期間を挙証するものは、原則として次のものとする。

  1.  タクシー又はハイヤー会社における運転経歴の場合
    1.  タクシー又はハイヤー会社が、旅客自動車運送事業運輸規則の規定に基づき作成した乗務員(運転者)台帳の写し(紙面なら表裏とも、パソコン管理なら全項目を印刷)。
    2.  公益財団法人東京タクシーセンター等の登録実施機関が発行する運転者登録原簿の謄本(A)及び(B)。  また、申請日・申込日現在無職の者は、登録実施機関に運転者証を返納した後の原簿を添付すること。
    3.  在職中における社会保険の加入期間を証明するもの(被保険者記録照会回答票を推奨)
    4.  その他業務内容及び期間を挙証できるもの
  2.  タクシー・ハイヤー会社以外における運転経歴の場合
    1.  雇用主が労働基準法の規定に基づき作成した労働者名簿の写
    2.  在職中における社会保険の加入期間を証明するもの(被保険者記録照会回答票を推奨)
    3.  その他業務内容及び期間を挙証するもの(運転者としての辞令・給与明細、運転日報や運転業務に係る表彰状、など)
  3.  事前試験合格者が譲渡譲受等の申請をする場合の留意点

~事前試験申込日での運転経歴10年分に係る挙証も譲渡譲受等の申請書に添付すること~

 日数が増えるだけで事前試験申込日と譲渡譲受等の申請日における運転経歴の勤務先の内訳が同じなら自動的に提出していることとなるが、例えば試験申込日では横浜での経歴を加算しないと10年分にならなかったが、譲渡譲受等の申請日には東京だけの経歴で10年以上になるといった場合は、試験申込日時点での運転経歴の挙証、つまり横浜に係る挙証も譲渡譲受等の申請書に添付する必要がある。

(3) 加筆・修正

 挙証資料(例:在職証明書、乗務員台帳、被保険者資格喪失確認通知書、預金通帳、賃貸契約書他)に申請人が加筆、修正を加えると公文書偽造になるので、絶対にしないこと。(例:乗務員台帳の退職年月日が空白だったので、退社日を自分で記入)

(4) 不適合

 地理試験免除に係る規定に基づく申請で、法令試験合格後の挙証資料において地理試験免除に係る規定に適合しないことが判明した場合は、地理試験に合格しなかったものとして却下処分となる。

(5) 提出時期

  1.  申請後試験の場合:合格後に送付される通知書に記載された締切日まで。
  2.  事前試験合格後に譲渡譲受等の申請の場合:申請時。

(6) 有効期限

  譲渡譲受等の申請日以前4ヶ月以内に発行されたもの。

(7) 運転免許経歴証明書

  1.  運転免許証の失効により、運転免許の取得期間と運転経歴の期間が一致しない場合には、自動車安全運転センターの発行する運転免許経歴証明書
  2.  提出・有効期限は上記(5)(6)と同じ

Ⅲ 運転経歴関係のQ&A 令和6年5月14日一部修正

  •  定年後、定時制乗務員、嘱託乗務員として雇用された場合、運転経歴として認められるか。 ~定時制乗務員・嘱託乗務員について~
  •  運送事業においてアルバイト運転者、日雇い等が関係法令に抵触するものであることから定時制乗務員・嘱託乗務員の雇用にあたっては、道路運送法、労働基準法、最低賃金法等関係法令の規定に基づき適正に管理雇用されなければならない。したがって、基本的には運転経歴の挙証において通常の乗務員と同様の添付が可能となるものであり、運転経歴としての期間については個別に判断することとなる。ただし、定時制や嘱託の場合、各運転者と事業者の雇用形態により健康保険及ぴ厚生年金保険が適用されるかどうかは当局では確実な判断が出来ないことから、社会保険未加入の場合で、定時制の場合は会社の定時制乗務員に適用する就業規則及ぴ雇用契約書、嘱託の場合は会社の就業規則及び雇用契約書をそれぞれ挙証に加えていただき当局はそれらを総合的に勘案し個別に判断する。
  •  同一会杜10年の場合の例として8年勤務後同社で引き続き2年の定時制乗務員をやっている場合、運歴としての10年同一として認められるか。(12年間無事故無違反)
  •  通常の勤務から定時制乗務員として再雇用される場合については、一旦退職してから再雇用されているケースと想定されるが、その場合、退職から再雇用までの期間が空いていないことが必要とされ、雇用契約書、タクシーセンターの登録、乗務員台帳等から個別に判断することとなる。
  •  会社がなくなり被保険者資格取得確認が取れない場合、年金事務所発行の「被保険者記録照会回答票」でよいか。
  •  問題ない。むしろ資格取得確認より見易い上に履歴書作成にも役立つので被保険者記録照会回答票によることを推奨する。被保険者記録照会回答票は①運転免許証持参で年金事務所に赴き直接受領②ねんきんネットで取得し印刷③ねんきんダイヤル 0570-05-1165又は03-6700-1165に電話し郵送のいずれかの方法で取得できる
  •  乗務員台帳の写について。以前勤務していた運送会社に運歴関係の挙証資料をもらいに行ったところ、会社の代表者も代わっていて10年前より以前の書類は破棄してしまったとの理由により乗務員台帳の写がもらえなかった場合について。
  •  法定保存期間の超過、勤務していた会社が閉鎖・合併等により現存しない場合等やむを得ない事由により乗務員台帳の写しの提出が出来ない場合についてはその旨の理由書を添付し、更に挙証として給与明細、日報等の提出により個別判断することとなる。
  •  ハイヤー(タクシーの場合も)の乗務員台帳について、選任日の欄と本採用の欄2箇所に日付がある場合、どちらの日付を取ればよろしいか。
  •  運転経歴の期間の起点については基本的に挙証の日付の中で一番後の日付をもって計算しているところであるが、乗務員台帳について、選任日と本採用と別の欄がありその日付が異なる場合について、本採用の後で選任日なのであれば起点の対象となるのは選任日となる。選任日の後で本採用がある場合については旅客自動車運送事業運輸規則第36条第1項第3号により運転者として選任してはならない者の対象から除かれているものに該当する場合と想定される。(試みの使用期間中の者は選任できないが、14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除くとされている。)よって選任日を起点の対象とすることとなる。ただし、この場合当然定められた日数の指導教育を実施していることが前提である。(平成14年2月1日から指導教育期間が5日から10日に変わった。)
  •  宅配便等は運歴(1/2計算)としてみることができるか。その他、サービスドライバー、セールスドライバー、タンクローリー、クレーン車はどうか。
  •  一般旅客自動車運送事業用自動車以外の運転経歴についてはその運転していた自動車の主の目的が運送用のものであり、その期間に他の業務も行っていた期間及び他の職業にも従事していた期間は認めていない。また、最近ではサービスドライパー、セールスドライバーといった呼び名のものもあるが、審査において判断するのは挙証によるので、例えば在職証明においてサーピスドライバーとなっていれば、他の業務も行っていたと判断せざるを得ない。 ただ、業務形態によっては可能性があるので面倒でも事前に運輸局(支局では不可)に確認を取ること。

Ⅳ その他の注意点 令和6年5月14日一部修正

営業所について

    1.  譲渡譲受等の申請をする営業区域(開業する営業区域)に申請日現在において営業所兼自宅が確保されていて、開業後も引き続き居住できる事が条件だが、特に民間賃貸住宅の場合は個人タクシーを志した時点で事務所としての使用も可となっている物件を選ぶか、所有者(貸主)から「将来、現住居を営業所にして個人タクシーを始めたい」件について、書面で承諾を得られる物件に居住しておくこと。一般的には契約条項に大抵「住居としてのみ使用すること」といった内容の文言があり、そのままでは営業所としての使用が不可能なので承諾を得る必要がある。実例として、入居時に口頭ではかまわないと言っていたのに申請間近になり承諾書をお願いしたら「やはり契約書通り営業所としての使用は認められない」と言われ、客が来るわけでも物品在庫を抱えるわけでもなく、看板出す程度で今までと何も変わらないと実情を話しても頑として譲られず申請を諦めざるを得なかったことがある。 このため可能であれば賃貸借契約の際の契約書または契約更新の際の文書の特約条項等に、手書きでも構わないので「個人タクシーの営業所としての使用を認める」および「看板の掲示を認める」といった内容の項目を追加してもらい契約あるいは更新することを強く推奨する。 いずれにしろ承諾が得られなければ営業所可能物件に転居するしかなく、さらには申請直前になって承諾が得られないと判明すると先の事例のように大変なことになる。
    2.  申請営業地域外に家族が居住していたり不動産を所有している場合(いわゆる単身赴任)や、社員寮・居候など契約書がない場合は、1年以上居住要件は撤廃されたが念のため、営業所や申請者所有不動産に係る各種公共料金の領収証や自宅に届いた郵便物、宅配の送り状、自宅近隣で買い物をした際のレシート等を申請予定月から確保しておくこと。申請後に運輸局から提出を求められた場合にそれらを確保していなければ別途支払証明書等を取得することとなるが、手間も費用もかかる。

    40歳未満で受験の場合の挙証確認

    1.  35歳未満の場合は申込日・申請日時点で10年以上の無事故無違反と同一会社で10年以上の継続が必要なので、違反はもちろんだが10年間のうちに休職等の乗務できない期間があったかどうかを必ず確認すること。
    2.  35歳以上40歳未満時点での受験や譲渡譲受等の申請要件には申込日・申請日時点で申請営業区域において直近3年以上継続してハイヤー・タクシー運転者として雇用されていることが条件であるから、継続についても予めきちんと確認しておく必要がある。特に「休職」「3年くらい前に免許停止があった」などの場合は、社会保険が継続されているか、タクシーセンター登録が継続されているか等、譲渡譲受等の申請で使用するものと同じ書類を必ず取得し継続になるか確認すること。

    事業資金の預貯金口座について

    •  一般的に200万円以上を用意するが、その際、生活費を入出金している総合口座の定期預貯金に収めると、万一普通預貯金残高がマイナスとなった場合に自動的に定期預貯金から補填される扱いとなる。つまり定期預貯金額(事業資金額)が減る=所要金額の100%以上が常時確保されていること、に抵触するという見方になるので非常に危険である(原則却下処分になる)。このため、事業資金は生活費、特に自動引落しの影響を一切受けない預貯金口座に入金し、許認可になるまで手を付けない。なお、定期の場合は自動解約にも留意すること。